ー 2017年5月8日

個人様からカシミヤセーターのオーダーを承りました②

こんにちは♪
ニットの伸びるチカラで「1本の糸から未来をインプルーヴ(改善)!」がモットーの 『インプルーヴ』 です。

今日の投稿は、先日のブログに書いた「個人様からカシミヤセーターのオーダーを承りました①」
の続きです。

先日の投稿で書き忘れた大事wなことが。。。^^;

それは、「なぜ(株)インプルーヴにお問合せを頂いたのか?」

答えは、「どこもやりたくない」、若しくは「作ることが不可能」な要望だったからです。

この度のお客様が作りたかったオリジナルのセーターは、ただのカシミヤ高級セーターではなく、
「前身ごろの真ん中にオリジナルのキャラクターの絵を編み込んだ」カシミヤセーターだったのです。

一般的なカシミヤセーターなら、日本の工場でも引き受けてくれるところがあったかもしれません。
しかし、これはそう簡単に実物化出来る要望ではなかったのです・・・
実は、編機の特性・糸のデリバリールート・データ作成のスキル・仕様設計書のレベルなど、
色んなハードルを抱えた要望だったのです。もちろんお客様は知る由もない、専門的な都合のお話です。

実際、こちらのお客様は普段お買い求めの某有名カシミヤブランドにオリジナルカラーの
オーダーをして作ってもらったりされている(恐らく超VIP顧客様)そうですが、
そちらでもオリジナル柄のセーターまでは引き受けてもらえなかったそうで・・・

それでインターネット検索を繰り返し、当社にお電話を下さったとのことでした。

最初にお聞きした時に、「既存のキャラクター(例えばサンリオのモチーフのような)は
お引き受けできないですよ」とお伝えしたところ、「オリジナルです」との事でしたので、
先ずはその柄を見せて頂きました。

それを見て、何故引き受け手がなかったのかすぐにわかりました。
ものすご~く複雑な色切替を要する柄なのです。色数も多い。
しかも「柄の切替部分がフラットな作り方を希望しています」というコメントと共に
ご自分が所有されているその編み方のセーターの写真を添付してこられたのです。

それは、インターシャという色の切替え方のテクニックが出来る編機で作られた物でした。
3色位だとジャカード編機で出来るのですが、その場合どうしても中心の柄部分と身頃との
切替部に厚味の差が出てフラットにはなりません。
かと言って、国内で流通している一般的なインターシャ編機でそこまで沢山の色切替が
出来る機械がないのです。(S精機様に確認しました^^;)

そこで、中国の手横編み機で今や中国でさえ貴重となっている技術者を有している
工場に伝手があったので、そちらにお願いして作っていただきました。

図案は、勿論当社でCADデータを起しました。(CADはS精機様にお借りしました)
お客様から預かっている柄イメージを極力残してニットの編み目に置換える作業は
なかなか根気が要る作業でもあり、センスも要します。
特に動物の柄は、ちょっとした目の表情などでイメージ画変わってしまうので特に気を
遣います^^;

こちらが、データを作っている時の様子です。

幾つかパターンを作ってどれがイメージに近いか、又1ドットずつ色を変えていきながら
よりイメージが際立ちつつ、編立可能な図案に仕上げていきます。
幾らイメージに近くても、色切替が不可能なパターンの箇所があったら再現できないですからね^^;
ーで、ある程度固まったら、今度はループシミュレーションに置換えて確認・・・

これを又繰り返して、納得がいく図案になった時点で、使用する色数(=色糸の数)を

 ①元絵ズバリに近い状態=10色使用
 ②見た目はほぼ変わらず色数を8色に圧縮
 ③ほんの少ししか使用しない色の部分を他の色に集約して6色使いに圧縮

の3種類のループシミュレーション画像を作成して、お客様に紙DATAで送付。
その際に、手配可能な実際のカシミヤの糸のカラーチップと風合い見本を同梱して
郵送させていただきました。

お客様は②の8色使いでの実物化をお望みになられました。

この時点以降は、工場にイタリアから糸を仕入れてもらわないと始まらないので
1㎏26000.-程度の糸を8色という原料代が掛かる為、御見積の50%を前払い金として
頂戴して工場に原料手配をお願いしました。

そして・・・

工場さんと幾つかの作り込みのやり取りを経て、最終的に出来上がってきた
のが、こちらの商品です。

お客様の反応にドキドキしながらお品をお届けしたところ、「若干編地が薄い気がしましたが
問題ない範囲です。満足です。」とのお返事を頂戴すると共に、残金のご入金を頂きました。

こちらの商品1着の最終のお値段は¥438,437.-(税込)です。

その後、数週間ほどして、同じ色使いでサイズ違い2着の追加オーダーを頂きました。
追加の場合、1着目の糸の残りの範囲なら原料代は掛からない旨お伝えしていました。

女性用との事でしたので、単純にサイズを小さくするだけではなく、衿ぐりの仕様など
女性らしいデザインへのアレンジのご提案などもさせてもらったので、仕様設計書は
改めて作り直しとなりましたが、原料の方が工場も色々工夫してくれて2着ギリギリ
作れましたので、こちらの2着についての最終的なお値段は、1着辺り¥88,247.-(税込)と
なりました。
2着お求めでしたので、合計¥176,494.-です。

追加商品のお届け後にお願いしたお客様アンケートの【価格について】という項目では、
5段階評価の内【●やや満足】に丸を頂戴し、
コメント欄には「仕方ないと思いますが、1枚目が高いです。3枚作ると平均価格はまずまずです」
とのコメントを寄せてくださいました。

ーという訳で、私たちもドキドキしながらお請させてもらった案件でしたが、
周りの業界お仲間方が協力してくださったお陰で、何とかお客様に満足頂けるお品を
お届けすることができました(#^^#)

ただでさえ、オーダーメイドが難しいニット業界で、この様な特殊な要望にお応えできるのは、
単なるニットのノウハウやスキルだけでなく、耳を貸して下さる協力会社さんがおられるからです。

そして、ここがあちこち探しても出来なかった事を実現できた私たちの本当の強味かもしれないなーと
思った次第でございます。。。

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