ー 2014年11月7日

クレームの原因…その大抵はー

先日お客様に「ニットの魔術師にぜひとも相談したい事があって…」と
お電話が。。
ニットの『魔術師』って…… 怪しすぎ~~~( ;∀;)
魔法は全く使えないImprove@Suzukiです。

最近頂くご相談の中でよく聞かれるのが、
「自社が契約してる工場のこの商品、何か安っぽいんです…
どこが悪いんでしょうか?」
とか、
「製品不良が多発で今返品修正中…でも、これホントに修正できると思う?
もう、店頭納期とっくに過ぎてるのに。。
そもそも何でこんなことになるの?」とか。

つい先日初めてお逢いした方が持ち込まれたのが、白と黒の配色セーター。
「白色の部分が何か薄汚れた感じに濁って上がって来てしまった」というお話。
「サンプルはキレイだったのに…」と仰います。
見せて貰ったら確かに白色の部分に無数に黒っぽい何かが…

はい、いわゆる「飛び込み」と言われる編立時のトラブルです。
黒い糸の綿ほこりが白色部分にも編込まれてしまっているんですね。

ーサンプルでは綺麗だったのに、本生産では汚くなったー

その工場はどんなところですか?とお聞きしたら、
「OEM会社さんに、僕のイメージでデザインを伝えてオーダーしてるから、
工場の詳細などはわからない」と。。
それではサンプルと本生産が同じ工場で作られたものかわからないし、
その工場の清掃具合も何もわかりませんよね。。。

私だったらそんなリスキーなオーダー、絶対したくないです。
せめて、そのOEM会社さんが扱われている工場の背景はきちっと
教えて頂かないと依頼書も書けないし、
そもそもそこが得意としそうな商品しかデザイン出しませんよ~。
ビビリですからwww そんな取引、怖すぎw

そこで今日のテーマ、
「クレームの原因…その大抵はー」

⇒私の30年弱の経験から申し上げると、
「最初の依頼時の詰めの甘さ」です。

或る人生の先輩で「万事 段取り八分、仕事二分!」が口癖の方が
いるのですがほんと、共感!
私達の仕事は単にデザイン画や仕様書が「描ける」ことではなく、
特にこの段取りの中にその専門性が問われる職種ですー

…一方現在のアパレル業界はどんどん小売化して
企画機能を仕入先に委託。
仕入先は工場と直接取引ではなく、OEM化、ODM化、OBMへと変化し、
その専門性の必要性がどんどん希薄とされる流れになっています。
けれど、実はニットほどデザイナーに専門性が求めれれる
ジャンルはないと私は思います。
何故なら、横編ニットデザイナーが担っているのは
単なるデザイン(絵)だけではないからです。

布帛(ファブリック)はデザイナーとパタンナーさんとの分業が
確立されていて大抵当たり前のようにセットで雇用されていると思います。
尚且つ、そもそも既に布として完成している「生地」を仕入れて
裁断・縫製して組み立てて「服」という立体に仕立てるのが工程の流れ。
この生地の製造工程には、布帛デザイナーもパタンナーも一般的には
介入しません。 好みで選別するだけです。

でも、ニットデザイナーは布帛の生地に当たるものを作る為の
「糸を選ぶ」所から仕事の領域が始まります。
勿論編機の機種特性を理解して編み方や柄の表現方法を吟味するし、
又、布帛で言うパタンナーさんに近いレベルまでパターンの事も
理解していないと工場の技術者さんとの折衝はできなくて、
布帛に当たる布=編地を作れません。

又、ニットパタンナーは布帛のパタンナーさんとは違う種類の
立体感覚の感性を問われます。
それは、布地は裁断後に縫製しないと平面の生地が立体になりませんが、
横編みニットは編機から編み下がる時点で縫製なしで立体をつくるからです。
ーなので、どう編んで立体に仕上げるか、を頭の中で組立できないと
ニットパターンはつくれないのです。

ミシン縫製の失敗はハサミで糸を切って縫い直しができるけど、
ニットは縫い直しはできません。編み上がり=縫いあがり。。
だけど、ニットデザイナーすら配置せずにに企画しているアパレルさんが
ニットパタンナーを社内に配置ーなんて発想はあるわけないですよね(;_;)
そういう意味では今やニットデザイナー以上に成立しにくい職種とも
言えるかもしれません。

故に、ニットデザイナーはデザイナーと言えど感性だけではダメダメ~。
感性やパターンスキルは土台で備わってて当たり前。
もう一階層上の〝段取り″ 八分の中の
「専門スキルやキャリアの違い」がニット商品の生死を分けるのです~
 (生死はちょっと大袈裟?www)

今ニットデザイナーをされてる若い方がもしこれを読まれていたら、
是非この二層目のスキルアップを心掛けて日々のキャリアを
積んで
下さいねー(^O^)/
きっとあなたの強みになるはずです☆

しつこいようですが、、、

そのあなたのお手元にあるニットサンプル(商品)が
あなたが払った仕入値に見合う商品に仕上がっているのか、
お客様が着た時にイメージ通りのステキさで、
且つ心地良い着心地になっているのか、
あなたはちゃんと判定できていますか?

もし判定できたとして、
それが希望通りになっていない場合、
あなたはどこをどう直せばいいのか、
相手に的確に改善策を提案できますか?
又「その改善を行ったら値段が高くなりますよ」と言われたら、
高くならないで改善する『ベストスペック』
相手から導き出すことはできますか?

私達の職業はこれらぜーんぶひっくるめてやっているのです。
諸々複合的に頭の中で組合せてデザインに盛り込み、
編立パターンの編成方法を吟味し、
(因みに当社には専属のニットパタンナーがいるのでより盤石(^^)v)
工場の編立の技術者や縫製技術者と話し込み、
常にその段階での最善の方法を見つけ出すー

企画人件費削減でチープで画一的な商品になるだけではなく、
実はキズや飛び込み不良、乱寸不良などだんだんロス率が上がってる…

御社は… 心当りありませんでしたか?

もし今(ドキッ)とした方がいたら、
それらのトラブルを単に製造先さんのせいにする前に
自らの企画体制についても、今一度振り返ってみてください。

企画なんて、ニットデザイナーなんて、いなくてもモノは
あがってくるもんだ、と軽視していませんか?
(最初をちゃんとやれば、商品はちゃんとできてくるんです。)
相手(製造依頼先)任せになり過ぎてませんでしたか?
無茶な、一方的な値切り交渉…しませんでした?

それら修正サンプル経費の増加、やり取りでの間接経費の増加、
関係スタッフの残業時間の増加、
店頭展開時期遅れによる潜在機会損失……
お店からのクレーム対応によるスタッフのストレス……
果てはお客様からの商品への信頼の喪失………

そうなったら取り返しはつかないですよ~(;_;) 
ご注意あれ☆

…あ、もしも「実はもう企画の人いなくなってて…」
なんてご相談の方は、
どうか手遅れになる前に来て下さいね(^-^;
精神誠意、ご協力致します。

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