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ものづくりがつなぐ未来と草の根の挑戦

こんにちは!アパレル界のニット姫こと、工業ニットスペシャリストの鈴木弘美(ひろみん)です。

毎週水曜日にゆめのたね放送局でお届けしているインターネットラジオ番組
『おしえて!ニット姫』(イエローチャンネル 19:30~20:00)、
https://www.yumenotane.jp/list
8/3.4週目に放送した内容の、今年5月〜6月にかけて実施した「兵庫県立川西カリヨンの丘特別支援学校 分教室」での校内実習の様子と、そこから見えてきた生徒たちの素晴らしい可能性、そして私たちが進めている草の根活動の広がりについて、ブログをご覧くださっているみなさんともじっくりシェアしたいと思います。

1. 「リンキング縫製」とは?
  なぜ今、担い手が必要なのか

例えばセーターやカーディガンなどのニット製品。
首元のタートルネックや袖口のリブが、着るときは頭や手を通すためにグッと伸び、着たあとは首元にピタッと美しくフィットするのはなぜか…みなさんはご存知でしょうか?

一般的な布帛(ふはく)のミシン縫製品だと、縫い糸が固定されてしまい伸び縮みしません。
無理に頭を通そうとすると糸が切れるか、縫い目が伸びきってしまいます。。。

そこで欠かせないのが「リンキング」という特殊な縫製技術です。

ボディ本体のニット編目(ループ)の一つひとつを針に刺し、チェーンステッチ(鎖状)で繋ぎ合わせていきます。この鎖状の縫い目がバッファ(遊び・余白)となり、ニット特有のしなやかな伸縮性を損なわずに縫製できるのです。

しかし、このリンキングは世間一般にはほとんど知られておらず、専門の職人や技術者の高齢化が進み、アパレル・ニット業界全体で深刻な担い手不足に直面しています。。。

2. 特別支援学校の生徒たちが見せた「ものづく
りの才能と高い集中力」

「知られていないなら、まずは知ってもらうことから始めよう」
「手先が器用で、真面目で、細かな作業に集中できる人たちに、この技術の存在を届けたい」

そんな思いから始まったのが、特別支援学校や就労支援施設へのアプローチでした。

遡ること役9年前、特別支援学校の授業見学会に参加した際に、生徒さんたちがボールペン1本でクラス全員の集合写真をそっくりに描き上げる姿や、驚くほどの集中力で精密な作業に取り組む姿を目の当たりにしました。
まさに「磨けば光る原石」のような素晴らしい才能がそこに在ったのです。

その時から地道に教育現場へ提案を重ねる中で少しずつ理解の輪が広がり…
6年前に神戸市立青陽灘高等支援学校が体験導入してくれたのを皮切りに、現在県内で3校が実習を導入して下さるようになりました。そのうちの1校である兵庫県立川西カリヨンの丘特別支援学校 分教室にて、今年も全5回の校内実習を行いました。

■ 実習の流れ(自分だけの手作り巾着袋づくり)

今回は、糸メーカーや協力工場からいただいた端材(残った編み地)を活用し、以下の工程をすべて生徒たち自身の手で行ってもらいました。

  1. 型紙づくり: ボール紙から自分専用の型紙を採寸・作成
  2. 生地の裁断: 伸縮して切りにくいニット生地に優しく印をつけ、ハサミで裁断
  3. ほつれ止めテープの圧着: 指先の感覚で表裏(糊面)を確かめ、アイロンで接着
  4. リンキング縫製: ガイドに沿って針(剣山のようなパーツ)に均等に刺し込み、ハンドルを回して縫製
  5. 紐通し・仕上げ: 二重に紐を通し、巾着袋を完成させる

3年生14名が参加してくれましたが、全員が2個以上の見事な巾着袋を完成させることができました!

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ほつれ止めテープの圧着
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リンキング縫製
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生地の裁断
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リンキング縫製

■ 「教えられていないのに、自発的にノートを取る生徒」の出現

実習の中で特に感動したのが、ある生徒さんが自発的にノートを持参し、教えた手順やポイントを一言一句メモしていたことです。

「教わったことをメモし、その通りに再現する」という力は、どんな職場・社会に出ても通用する確固たる強みです。生徒たちの持つポテンシャルと成長意欲の高さに、胸が熱くなりました。

3. 心温まるお礼のお手紙と似顔絵、そして「教育現場での定着」へ

実習後、先生から思いがけないプレゼントが届きました。

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生徒からのお礼のメッセージ集

冊子の中には、実習に参加した生徒11名からの丁寧で温かい直筆のお礼のお手紙と、私の特徴(赤毛、頭に乗せた老眼鏡、首から下げたスマホなど)を完璧に捉えた素敵な似顔絵がつづられていました。

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丁寧に記された生徒たちからのメッセージ
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とても几帳面に書かれた文字からも生徒たちの気持ちが伝わってきました
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手紙の最後に私の似顔絵が…
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二人の生徒が力を合わせて描いてくれたそうです(´ー`)

「最初は機械の名前も難しかったけれど、3回目で覚えることができました。糸が引っかかったときの感覚を掴めました」

「完成した巾着袋をお父さんにあげたら、とても喜んでくれました。嬉しい気持ちになりました」

「いろいろな作業がありましたが、商品として販売されて誰かが買ってくれると思うと、すごくやりがいと愛着が湧きました」

ー生徒たちからの手紙よりー

生徒たち自身が「できた!」という達成感を味わい、ものづくりへの誇りや愛着を感じてくれたことをこの手紙を通して感じることができて、私にとって何よりも嬉しいギフトになりました。

さらに嬉しいことに、実習終了後に先生から「リンキングミシンをもう少し貸していただけませんか?」とご相談をいただきました。

理由をうかがうと、「これから入学を検討する中学生や保護者の〈学校見学会〉で、リンキング実習授業について紹介したり、見学者に実際に体験してもらったりしてみたい」とのこと。。。

学校側が自発的に「授業の特色・強み」としてリンキングを位置づけ、次世代へアピールしようとしてくださっている――。長年続けてきた草の根活動が、確実に「定着」へと進化している手応えを感じた瞬間でした☆彡

4. 就労支援A/B型事業所・企業の皆様へ|リンキングが拓く新しい可能性

先日サンテレビの特集番組『KOBE LIFE(https://www.youtube.com/watch?v=sP-ojM-bQfk&t=29s)』(神戸人・30分密着)でも取材していただきましたが、現在、神戸市立青陽灘高等支援学校などでも通年でのリンキング授業が展開されています。
生徒が真剣な眼差しで針に糸を通し、「あ、通った!できた!」と満面の笑みを浮かべる姿は、テレビを通じても大きな反響をいただきました。

私たちは今、この取り組みを特別支援学校だけでなく、就労継続支援A型・B型事業所の皆様などともさらに連携を深めていきたいと考えています。

■ 就労支援事業所での導入メリット・相性の良さ

  • 高い付加価値と工賃向上: 単なる単純作業にとどまらず、プロのアパレル製品として流通できる技術・製品づくりを身につけさせることが可能。
  • 適性に合わせた作業分担: 「裁断」「アイロン」「リンキング」「仕上げ」など、得意不得意に応じた段階的なステップ設計ができる。
  • 圧倒的な達成感と自立支援: 自分が携わったものが「誰かに愛用される商品」になる喜びが、利用者の自己肯定感と生きる意欲を大きく育てます。

結び:1本の糸からココロ豊かな未来づくりを

株式会社インプルーヴは、「ニットの伸びる力で、1本の糸から心豊かな未来づくり」を目指しています。

技術の継承、障がいを持つ方々の可能性の開拓、そして地域産業との共創。リンキングという小さな技術が、人と人をつなぎ、社会の課題を解決する大きな架け橋になると信じています。

この活動に少しでも関心をお持ちくださった教育関係者の皆様、就労支援事業所の皆様、アパレル・製造業の企業の皆様、ぜひ一度お気軽にお問い合わせ・お声がけください。

誰もが輝ける新しいものづくりの未来をぜひ一緒につくらせてください!

【プロフィール】

鈴木 弘美(ひろみん / 工業ニットスペシャリスト)
 
株式会社インプルーヴ  代表取締役
 https://improve-knit.com/
 一般社団法人 日本リンキング技術協会 代表理事
https://tan280189.studio.site/
 インターネットラジオ『おしえて!ニット姫』
 (ゆめのたね放送局・イエローチャンネル)  パーソナリティ
https://www.yumenotane.jp/list

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