こんにちは♪
ニットの伸びるチカラで「1本の糸から未来をインプルーヴ(改善)!」が合言葉の
『インプルーヴ』 です。

今日は 、旧型のブログに投稿した記事
https://improve-knit.com/blog/garabouhoumon170113
のアーカイブから、
2017年2月13日 に投稿した「ガラ紡」という
工業紡績機が生まれる過程にできた希少な紡績機のお話を。。。


唐突ですが、皆さんは「ガラ紡」という単語を
聞いた事はありますか?
「ガラ紡」。。なんとなく、言葉のイメージから紡績の種類???

私は昨年末に知人から誘ってもらって参加した業界関連の懇親会で
ある方にお目にかかったのがきっかけで知りました。

Q:なんで「ガラ?」
A:「ガラガラと大きな音を立てて糸を紡ぐから。」
なるほど。。。そのまんまやねー(´・ω・`)

ーでも、これがその機械の正式名称なんです。
あだ名とかじゃなくw

「1本の糸から未来をImprove」するがスローガンの
当社としては興味津々!
ーで、年明け早々アポイントを取って、
工場を突撃訪問してきました♪
自分の目で見てみないと、どんな糸が出来上がるのか
イメージが付かなかったので^^;

実際の糸は、こんな感じ。
何と、糸だけじゃなく、食用油まで作ってらっしゃいました☆

糸自体は、とても緩い撚糸のスラブコットンです。
見るからに優しい雰囲気の糸。強度はちょっと心配ですが。。

生地だとこんな顔。
膨らみはあるけど、このままだと服にするのには
少々課題がありそうかな。
全面芯貼りするようなものならいいかもしれませんね。
例えばバッグとか?

ちなみに、こちらのこの糸の商品名は「fuwaco(ふわこ)」
カワイイ名前♪
そして、この糸を作る機械がその【ガラ紡機】。

このアルミ?か何かの金属の筒に原綿を詰めて綿をひも状に
垂直に引き延ばすのですが、
その筒がガラガラと大きな音を立てながら回転するので、
その名も「ガラ紡」^^

こちらの会社では原産地が明確なオーガニックコットンの
綿を使用されていました。

何故オーガニックコットンを使われているのかについては
ここでは割愛しますが、
オーナーさんの明確なこだわりがありますので、
ご興味がある方はオーナーさんのブログをお読みください☆
有限会社CHICAさんのブログ➡ ふわふわコットンのふわこです

そんなナチュラルの原綿から紡がれる天然色のままの糸には、
ところどころに綿カスが残ります。
染めていないナチュラルな綿の証拠ともいう?!

ここからは、簡単にこちらで糸ができるまでの工程をー

先ず、これが原綿です。
これはインドのオーガニックコットン。
この塊の単位を何というかお聞きしたのですが忘れちゃいました(>_<)

カンカンに真空梱包されてて、すごい重さなので、
玄関に運ばれてきた時のまま、鎮座してました。

この塊から引きちぎるかのようにして、
綿を攪拌機に入れて綿を解し空気をはらませます。

攪拌する機械も当時のまま。ほとんどの部分が木製です。

綿をふわっふわにほぐしたら、それをシート状にする機械に移し、布団用の薄綿の様な布状にし、
それをくるくると巻き上げて反物の様にします。
それを凡そ20㎝位の長さに切り分けてガラ紡機の筒に
詰め込みます。

まるで、綿菓子みたい~♪

この、綿の上に置かれている棒で綿を挟んで詰め込みます。

機械はどれも一応電気で動きだします。
蛍光灯のスイッチのようなボタンを押すと、
全ての筒が一斉に回りだして綿が糸状になりながら、
上のボビンに巻き上げられていきます。

その動力は筒の下に這わしてある紐が回って歯車を動かし、
筒を動かします。

上に巻き上げられた木製のボビンの状態では細くて弱いので、
この合糸機で数本合せてある程度の強度に耐える太さに整えます。

写真には残せてないのですが、今度はそれを撚糸機に掛けて
撚り合せます。
ここで漸く、使える「糸」となります。

私は歴女ではありませんので、この紡績機が辿ってきた歴史を
ググってみると。。。

ガラ紡は、臥雲辰致により1876年に考案された紡績機。
そのガラガラという騒音から、ガラ紡と呼ばれた。
第一回内国勧業博覧会(1877年)に出品、受賞。
東海地方を主に浸透。だが、当時日本には特許制度が無かった
ために無許可で次々製作され、
臥雲はガラ紡製作の自己資本さえ回収できない始末と
なってしまった。
水力を利用した水車式のものが普及したが、
それに限らず同様の紡績機構を有するものも含まれるー
(ウィキペディアより抜粋)
とありました。

この発明者である臥雲辰致(がうん たつむね)が
日本の綿紡績の歴史を変えた人であるにも関わらず、
模倣品の氾濫で生活もままならない状況にある事をみた日本は、
このままでは工業化は発展しない、発明を護る法律の整備が必要と
考えた高橋是清(だるま宰相)が特許を導入するために
当時の特許先進国である欧米へ渡りその仕組みを作った、
ーというのも時を同じくして偶然観たTV番組で知りました。

そんな、歴史の生き証人の様な紡績機 -【ガラ紡績】-
この子が本当の意味で現代で生きる(エンドユーザーに愛される)のは、どんなものなんだろう・・・

岐阜県の山間地に位置するこの工場を訪ねたのは、
今年最初に西日本にも雪が降るとの天気予報で言われていた前日。
ふと見ると、窓の外はすごい吹雪!
下界は全然雪なかったのにー。
(降るのは明日じゃないの?!)そりゃ、寒いはずです。

しかしこの風景、なんだか風情があって良いと思いませんか?
今回撮った中で、一番のお気に入りの写真です。

時代も超えて、歴史を紡ぐ。

今もガラガラと大きな音を出しながら、深々と静かに積もる雪景色の中「不揃い」を「均等」に紡ぎ続けるガラ紡機。

今度は具体的な仕事を携え、3月にもう一度この場所を訪ねるつもりです。
<現代のエンドユーザーに愛される価値>を
一緒に生みだすためにー。


2020年の今、後日談としては
もちろん3月含め合計3回訪れながら、
この糸の普及について検討しましたが、
残念ながら未だなかなか実現には至っていません。
でも、この糸の良さは言葉に表せない独特の風合いで
いつかこれを「身に纏ってみたい」
という想いは消えていません^^

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