こんにちは。インプルーヴです。

先週末辺りからここ神戸も桜が綺麗に咲き、どこも春満開ですね~♪
FaceBook等にも、全国からの桜写真がアップされていて、それを見るだけで
十分なお花見ができますwww

FaceBookーと言えば…
このSNSの登場で、今までのMixi等を使っていた時よりも格段にWEBが生活の
真ん中に鎮座するようになって、WEB媒体として様々なものにアクセスし情報を
得ることがいつの間にか当たり前になっていることにびっくりしたりしますが、
それはプライベートだけじゃなくて事業においても同じで、当社もHPやブログに
力を入れるべくそれらに向き合う時間を少しずつでも増やしているのですが、
そうしていると本当に不思議なもので、WEBがなかった時代には全く考えられな
かったジャンルからの引き合いや相談のお話を頂く事があり、本当に面白い
世界だなーと思います。

私の様に転職経験が乏しく、ニットという専門ジャンルのカテゴリーに、好んで
ひたすら在籍している者には本来有得ない出遭いも巡りあいますし、
又、専門分野に特化しているだけに逆に一般の方からしたらどんな事が「ハテナ」
なのかを教えてもらえる場面もあり…

ー今日は、そんな中で最近聞かれた質問をひとつ。。。

それは、
「自分が描いた絵を繊細な薄いセーターにするにはどうしたらいいですか?」
です。

アパレル関係の人でなければ、もしそうでもニットスキルをお持ちじゃなけれ
ば先ずは「できる」か「できない」か?から分らないのかも知れませんね。
でも、今回訪ねてこられたのはアパレルとは全くの別ジャンルの方。。。
どうやら、どこに話を持ち掛ければ良いのかも分らなくてWEBで検索されたら
うちのHPに遭遇したとの事でした。

答えは「できます」です^^

方法は、今日のテーマの「インターシャ」か「ジャカード」かの
どちらかのテクニックを利用します。
インターシャとジャカードの大きな違いは、出来上がりの編地の厚みです。

「ジャカード」は、布帛の織物の手法にも昔からありますので言葉としては
馴染み深いかもしれませんね。
ニットでも、基本的には同じで何色かの糸を切替ながら編み込で柄を出す
方法です。

これはシンプルな市松模様を表現したジャカード柄。
1コースの中に3色の糸を入れて編みこむので、糸3本分の厚みになります。
1コース内の糸の総合番手が太くなるので、編機のゲージも比例して荒く
なっていきます。

裏はこんな感じです。
表に出ていない、残りの2本が裏側で編みこまれているので、それらが
混ざった様な見え方になります。

因みに、2色ならこんなリバーシブルなテキスタイルに編む事もできます。
※表側

これなら、裏面を生かしたデザインを考案することもできます。
今年流行の布帛のリバーみたいに。
※裏側

この様な幾何的な表現だけじゃなく、有機的な柄も勿論表現可能です。
この組織は、「スレッド」という編み方も盛り込んであるので、表面が
フラットだけじゃなく、少し凹みも作り、裏側に回っている糸を表に
覗かせることでもう1色増やした形の表現をしています。
この編地では3色しか使っていませんが、4色に見せています。

最初に図案を描く際には、これら表現に使うテクニックを想定して描き分けます。

裏側はこんな感じ。

同じ図案でも、編組織で柄の出方はこの様に変化します。
下の3枚の写真は、図案は全く同じです。

使用している糸の種類も色も全く同じですが、印象は変わりますよね。

さて、次はインターシャです。
これは、軽く20年以上昔のセーターですが、例としては一番分り易いので
資料として保管してあるのを引っ張り出してきました。

今となってはとても珍しい程にふんだんにインターシャのテクニックを
駆使したデザインで、インターシャの上に手刺繍を重ねて陰影を表現して
います。

【インターシャ】は、色が切り替わる毎に糸を裏で繋ぎ合わせる手法なので
ジャカードと違って厚みが出なくて、1コース内に使える色数も格段に
増えます。

拡大してみます。

裏を見てもらえると、ジャカードとの違いは一目瞭然です。

色が切替わる毎に繋ぎ目があるのがご理解頂けると思います。

因みに、これは風景写真からフィレンツェの「ドゥオモ」をモチーフに
絵を描き、それをゲージに合わせた図案に加工しなおし、加えて刺繍
の図案も私が起こして製品化された当時の製品です。
この頃は丁度クリッツアのリアルな柄表現の一点物っぽいニットが流行っ
ていた頃でこの時は【フィレンツェ】が企画テーマでした。

他にも【スイス】がテーマの時にはこんなな風景画セーターも作りました。

これは、糸の色だけではなく、糸自体も違うものを組合わせて編んで
あります。
例えば、パープルの橋の部分はナイロンモールを使い、橋桁の処には
モヘアを使いました。

これらは1コースの中でかなりの回数を任意に切替えるので、テクニックと
してもかなり高度ですし、商品もそれに応える価値感の高い出来栄えが
期待できます。  …勿論、その分コストもお高くなりますが…(^-^;

又、一か所ずつ手作業で切替えていく手横インターシャ機という編機を使う
ので、国産での生産は不可能です。当時も中国生産です。

1コース内の切替回数がもっと少なくて 単純な柄=アーガイル柄 等は、
クラッシックなインターシャ自動編機で編めるインターシャ柄の代表例で、
一般的にも認知度の高い柄ですが、この手のクラッシックな機械は、色の
切替が大抵1コース内で6回しか出来ません。
だからインターシャの柄の大きさは大体どこの商品でも似てくるのです。

…ですが、特殊な所ではこれも一応自動機です。 
そして18GGなので、かなり薄手のセーターを作る事ができます。

裏をよく見ると、部分的に糸を切らずに上に向かって繋がって編み上げられ
ているのが分ると思います。
糸が繋がっている所は、部分的にシングルジャカード編にする事で切替回数
を稼いでいます。

…とはいうものの、これもかなりの編時間と機械の調整を要するので安価での
製品化は難しいです。
又、国内でもこの機械を持っておられる工場も限られますので、そういう
意味でも希少性は高いと言えるかもしれません。
逆にここまでのスーパーファインゲージでの手作業のインターシャは大変
過ぎるので、自動機の方が現実的かもしれません。

柄の描き方次第でコストもかなり変わってくると思うので、工夫次第では
とても薄くてすっきりした、価値観の高いバリューな柄ニット商品を作る事
ができるかと思います。

…実は、ジャカードだけでも今日ご紹介したのは一般的にダブルジャカードと
言われるもののほんの一部。
もっと詳しく説明するなら、裏側の組織をゴム編にするか袋編にするかミラノ
編にするか…等で柄の出方も厚みも変わってきたりします。。。
本当にニットは奥が深いんですよ~♪

ーあまりマニアックになっても長くなるだけなので今日はこの辺にしておく事に
しますが、こんなマニアックな話題に興味のある方は又読みに来て下さいませ。
^^;

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