先日、クライアントさんとの商品企画MTGの合間の雑談でのこと…
「…鈴木さん、本当にプロと言えるニットデザイナーさんって、
今そんなに少ないんですか?」
(※ クライアントさんは純アパレルではないので川上の事には
   詳しくない方々です)
「どうしてそんな質問を?」
「先日聴きに行ってみた〝日本製ニットの未来についてー”という
セミナーで講師の先生が仰ってて…」と。
「そう言えば、私もちょいちょい【絶滅危惧種】と言われます^^;」
なんて話をしたのですが、
聞いてみると知人が講義を務めたイベントだったみたいで☆彡
世の中は狭いです~。…というか、ニットデザインをきちんと
できるデザイナー人口自体が少ないからかもしれませんが。。。

…では何故私達は絶滅危惧種? になってしまった…のか?
自社にとってもとっても大事な環境の問題ですし、
せっかくなのでちょっと思いふけってみます。。。

 ➀ 女性が担っていた比率が非常に高い職種だからー
    …結婚・出産と共に業界を去る人が多いと思います。

 ➁ アパレル企業内でデザイナーの人材層を維持しない企業が
   増える傾向にあるからー
    …今の現実は商社さんやOEMメーカーさんが持ってきたデザ
    インにのっかるとか、写真などを渡して似寄りの物を作って
    来てもらって、実物を見てから検討する企画法が一般的に
    なりすぎた為、アパレル側や企業内のデザイナーに
    ノウハウが溜まらなくなり、どこでコスト圧縮して
    どんな原価の商品を仕入れているのか実値もわかりにくく
    なってしまい、価格と価値がバランスしてるのかも判断
    つきにくくなってきた。(MD・生産担当者も同じく…)

 ➂ ➁の傾向に伴い、企業側が商品製作に接することを知らない
   デザイナーばかりを育ててしまったからー
   (勿論、今でも専門職の人材育成に力を入れている企業も
    ありますが、一般論の傾向として)
   …特に、ニットデザイナー/パタンナーの場合は、ニット工場
   の現場の方々と喧々諤々しながらでなければノウハウを蓄積
   する「場」はありません。ここがキモかもしれません。

   何故なら、布帛(織物/反物)を扱うデザイナー・パタンナー
   のノウハウは、一応縫製技術などを学ぶメソッドが専門学校
   で確立されているので一通りの知識を持って就職後の実践で
   ブラッシュアップしますが、ニット(編物)について学べる
   デザイン学校は国内ではごく僅か東京にあるのみで、
   その大半は就職してから基礎から実践で身につけるしかあり
   ません。

   又、ニットは布帛の生地に当たるテキスタイルを糸選びから
   始めて作り上げねばなりませんが、卓上ミシンの様な身近な
   機械設備ではないので工場に委ねなければ何も始まらない
   のです。
   その為には、どの工場さんにどんな機種の、どんな編み幅の、
   どんなゲージの、どんな特性の機械設備があるのかという知識
   や、リンキング設備がどれくらいあるのか、協力工場・内職
   委託などの体制はどんな感じなのか…など、縫製ラインの設備
   への理解も重要になります。
   それらは全て工場毎に異なるので仮に専門の学校で学んだ人
   でも現場での学びが無ければ役には立たないと思います。
   そして、それら、現場のニット・ノウハウを体系化して残して
   いる企業はほぼないに等しいと推測され、個々人に帰属してい
   るのが現状ではないでしょうか。
   …加えて、糸選びから自社の企画をするアパレルの生産体制
   の流れが激減した事で、糸の種類、番手とゲージの相関など
   を学ぶ機会も得られないので応用が利かない。すなわち、
   オリジナルを企画できない。。

 ➃ ➂の傾向に伴い、どんな糸を選んで、どこの工場の機種の
   編機でどんな編み方の編地にしよう、とか、どんなシルエッ
   トを編もう、とかの発想自体が生まれない。
   …なので、工場の現場とコミュニケーションを取る必要性も
   生まれない。

そんな状況の積み重ねも原因の一助と思われますが、最近は糸屋さんが
アパレルの企画室に営業に行って新作の糸を紹介しても???な様子で
反応してくれない…のだとか。。
…なので、ヤーンメーカーさん達は営業先をアパレルから産地などに
力点を移してらっしゃるように感じます。
(お陰で当社の様なチッチャなニット企画会社にも来て下さる
 先様が増えました。ここは非常に有難いです^^;)
 
…他にも色々あるかと思いますが、今のニットデザイナー/パタンナー
の現状とはこんな感じではないかと推測します。

…でも、こうなってしまった要因は勿論自分達も他人事ではなく
業界の先人としては黙認してきた当事者の一人であり、原因の
一つになっているかもしれません。。

じゃあ、これからのニット業界の後輩に私達には何ができるのか?
ーここを、最近良く妄想します。
どうしたら、ニットデザイナーさん(ニットパタンナー含む)達が
スキルアップできる環境になるのか。。。

私達の頃には教えてくれる先輩が沢山居ました。
今の人達にはその「先輩」が居ない、仕事の「相談相手」がいない。
会社内に資料がない。デザインを考える為の編地や糸の資料がない…
そういう部分を補完してあげれたら、少しはお役に立てたりするのだろうか。。

これを読んでいるデザイナーやパタンナーさんへー
皆さんの環境はどんな感じですか?
何が足りないと思いますか?

今はアパレルよりOEM-ODM企業にお勤めの方の方が多いかも
しれませんが、技術やノウハウを教えてくれる先輩はいますか?
デザイナーとしてスキルアップしたいと思いますか?
思っている方は、それが出来る環境になっていますか?

皆さんの生のお話も聞いてみたいので、良ければ気軽にコメント
下さいね。 宜しくです^^
 

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