ー 2017年5月18日

お客様から「本当にいいね」といわれるには

こんにちは♪ 
ニットの伸びるチカラで「1本の糸から未来をインプルーヴ(改善)!」がモットーの 
『インプルーヴ』 です。

今朝の業界新聞の一面にとても共感する記事がありました。
大見出しは「作り手が流通を作る時代」
記事は合繊の素材メーカーさんが、アパレルブランドの企画・開発を行う会社に出資して、
24カ月連続でクラウドファウンディングを活用して新機能商品を発信し、コンセプトの輪を
広げるという活動を紹介する内容です。

その中で、織物メーカーさんがこんな発言をされています。
『当社は新卒を積極的に採用して、生産現場は元気。開発した合繊には「機能と技術力」が
詰まっています。
しかし、客にとっての価値」を問われると、実は良く分っていない。
正直、作る側は要望されれば何でもできる。
しかし、実際に生産したものは、客先のあいまいな要望を形にしているのであって、
消費者の声を直接聞き取って作ったわけではない。

極論すると「要望に似たもの」に過ぎないのです。
我々は作り手も理論を取り払い、「本当にいいね」と言われる素材を開発したい。』 -と。

当社はニット主軸の商品企画・デザイン~生産工場との中継役などを一貫して請け負う
仕事をしているのですが、その現場も全く同じ状態で同じ課題を抱えています。
それで、私たちもこの現状に危機感を感じ、ちょっとユニークな活動をしています。
「作り手」に「着る人」の望みをしっかりと
吸い上げて正確に伝え、その望み以上の歓びを着る人に届ける商品づくりの仕組みを
作れないだろうかーという思いで、丁度1年ほど前に立ち上げた「作り手」の想いを「着る人」に届ける
というプロジェクトです。

現在の参加者は、
● ニット工場 1社
● 小売店 1店舗
● アパレル副資材メーカー 1社
● ニット企画・デザイン会社 1社
● 仕組みコーディネーター 1社
ーの構成です。

昨年冬に、このプロジェクトで初めてのチュニックプルオーバーを
お客様に届けました。
この時は、まずはお客様ニーズを仮説で立ててデザインしたものをサンプリングし、
サンプルを通してお客様にお声を頂きました。
そんな中で頂いたのは、「Vネックは好まれない方が多い」という結果でした。

なぜ「Vネックが好きじゃない」のか?
なぜ「丸首」の方が好きなの??
・・・原因は果たして本当に「V」の形なのだろうか??? 
ー作り手みんなで話し合う中で思ったのは、
「胸元が開くのが好きじゃない」からなのでは?
➡胸が開かないVの形だったらどうなのかー。

そして、私たちはこの写真の様に胸元を「胸元が開いていないVネック」にアレンジして
お客様の元に商品をお見せしてみました。

結果は、「ああ、これなら気にならないわ~」「衿から前中心にかけてのデザインラインも
スッキリ見えていいわね^^」というご意見と共に、お客様のお手元に届けられました。

私たちは今、2作目の商品として夏の一番暑い時に「涼しい秋物プルオーバー」を届ける企画を進めています。
今回もお客様からのお声の裏に隠れている潜在ニーズに耳を傾けながら、何度か試作を繰り返し、
やっと納得いくところまで突き詰められたので極小ロットの生産に取り掛かるところです。

ここで、新聞記事に戻ってエンドユーザーのお客様から「本当にいいね」と言っていただくこととは
どうゆう事なのか・・・について、少し考えてみたいと思います。

お客様が「本当にいいね」と言って下さるときとは、その価値が伝わった時。
期待以上の満足を感じて頂けたとき。
じゃあその「価値」「満足」って、何なのでしょうか。

公式にするとしたら、
「お客様が感じた価値」-「事前期待値」
という感じと考えます。

そして、そのお客様が事前に思っている期待値を超える価値をお届けするために大切なのは、
お客様自身も気付いていないことにどれだけ応えることができるかーに尽きるのではないか、と。

我々「作り手」の想いを「着る人」に届けるPJTも、ここを最もキモにおさえて引き続き想いを
お届けしてまいりたいと思っています。

そして、私たちは、一緒にお客様の想いに応える活動に賛同・参加いただける小売店さんや
メーカーさんを常に募集しています。

ご興味がある方はいつでもお問合せフォームからご連絡くださいませ(#^^#)
活動メンバーや日頃の様子はFBページからご覧いただけます(~o~)
「作り手」の想いを「着る人」に届けるFaceBookページ

#「作り手」の想いを「着る人」に届ける
#1本の糸から未来を改善(Improve)
#ファッションを通して様々なコンプレックスで区分けなく輝ける社会・文化をデザインする

ー 2017年5月10日

【つくおも】商品企画に参加しませんか♪

こんにちは♪
ニットの伸びるチカラで「1本の糸から未来をインプルーヴ(改善)!」が
モットーの 『インプルーヴ』 です。

GW明けて、すっかり夏日の様な暑さで、街を歩く人たちの服装も一気に初夏を思わせる
軽快な印象が目立ちますね。

そんな中・・・私の手元に届いたのは、綿アンゴラの編地です。
頭の中はすでに秋です^^;
これは、当社が活動発起人に名を連ねる「作り手の想い」を「着る人に届ける」プロジェクトの
商品企画
の編地です。

「編地」とは、お洋服を作る際の「生地」に当たるもののことで、ニットの場合は、先ずその生地に
あたるものをどんな編み方で作るか、という生地づくり=編地づくりから始まります。

例えば、今秋に使用しようと思っているこの綿アンゴラの素材。
40/3という太さで売買単位は「反物」ではなく「糸」の状態です。
少し専門的な話をしますと、40/3というように分子が分母より大きい表記法は綿の番手表示で、
一般的に良く表示されている毛番手(分子より分母が大きい)に置換えると3/68=1/23となり、
我々のメンバーの工場の編機で一番相性が良い編機の種類(ゲージ)だと
1本取りで編むなら14ゲージ、
2本取りなら12ゲージとなりますが、2本取りの方が出来上がりの商品は少し重くなります。

これは1×1リブから編み始めた天竺編みの編地。

これは2目ガーター編みの編地

総針編み

ミラノリブとハーフミラノ(片袋)

スムース編み

片畦編み

この綿アンゴラで、小売店さまオリジナルの秋物商品の企画を始めます。
工場と小売店が直結して極小ロットで商品づくりをしますので、
小売店の先のエンドユーザー様のお声も丁寧にお聞きしながら作り込んでも、
今年の秋の納品に間に合います(#^^#)

昨年初めてこの素材を使用してみて、チュニックプルオーバーを「着る人」に
お届けすることができたのですが、その時にも最初は12ゲージの天竺で試作品を
作り試着してもらう中で(お客様は気付いておられませんでしたが)この度の
お客様にとってはもっと生地(編地)がしっかりした方がボディに貼りつかずに
喜んで頂けるのでは…? というところにいたり、途中で14ゲージのゴム地という組織に変更しました。

それが奏功したのかはわかりませんが、結果、好評を頂いたようです。
今年は、昨年の経験を活かし14ゲージの編機を使って少ししっかりした編地で
どんなバリエーションを出せるか、から考えてみようということになりました。
「お客様が袖を通した時に〝気持ちよくて〟〝安心感〟も感じられる生地」
=編地づくりから始めるのです。

ーということで、【生産者・ニット工場】さんに編んでもらった編地は添付写真の7種類。
写真では一見同じように見えるかもしれませんが、厚みやハリコシ感、手触り、
落ち感(ドレープ感)が其々違います。

綿アンゴラという素材の性質上、「着る人」にとっては初秋からウールの暖かさが
必須になるまでのかなり長い期間着用シーンがあると思われますし、何より
ウールのチクチク感が苦手な敏感肌の方にとっては冬でも活躍してくれる
アイテムになると思います。

こうして、編地という形で【生産者@ニット工場】からの想いのバトンを受け取り、
「着る人」がワクワクしてくれるシーンを連想しながらこの7種類の編地を経て
心地良さと安心感を届けられるよう、デザインの翼を広げてみたいと思います。

今、秋冬商品の仕入に回られている小売店の皆様!
いっそ、自店の【お客様が喜んでくれる姿が目に浮かぶ】ようなオリジナル商品を、
「仕入れる」だけではなく、「作る」という発想を加えてみませんか?

次の私たちの活動ミーティングは5/16 PM2:00~ 三ノ宮です。
少しでも興味・関心を感じられた方、ゲスト参加大歓迎です♪
直接メッセージくださいませ(^O^)/
あなたのお店のお客様に、価値ある1着をお届けする方法を真剣にお考えの方。
百聞は一見に如かずですよw
小さな行動、起してみませんか。 私たちと一緒に(^_-)-☆

#作り手の想いを着る人に届ける 
作り手の想いを着る人に届ける

ー 2017年5月8日

個人様からカシミヤセーターのオーダーを承りました②

こんにちは♪
ニットの伸びるチカラで「1本の糸から未来をインプルーヴ(改善)!」がモットーの 『インプルーヴ』 です。

今日の投稿は、先日のブログに書いた「個人様からカシミヤセーターのオーダーを承りました①」
の続きです。

先日の投稿で書き忘れた大事wなことが。。。^^;

それは、「なぜ(株)インプルーヴにお問合せを頂いたのか?」

答えは、「どこもやりたくない」、若しくは「作ることが不可能」な要望だったからです。

この度のお客様が作りたかったオリジナルのセーターは、ただのカシミヤ高級セーターではなく、
「前身ごろの真ん中にオリジナルのキャラクターの絵を編み込んだ」カシミヤセーターだったのです。

一般的なカシミヤセーターなら、日本の工場でも引き受けてくれるところがあったかもしれません。
しかし、これはそう簡単に実物化出来る要望ではなかったのです・・・
実は、編機の特性・糸のデリバリールート・データ作成のスキル・仕様設計書のレベルなど、
色んなハードルを抱えた要望だったのです。もちろんお客様は知る由もない、専門的な都合のお話です。

実際、こちらのお客様は普段お買い求めの某有名カシミヤブランドにオリジナルカラーの
オーダーをして作ってもらったりされている(恐らく超VIP顧客様)そうですが、
そちらでもオリジナル柄のセーターまでは引き受けてもらえなかったそうで・・・

それでインターネット検索を繰り返し、当社にお電話を下さったとのことでした。

最初にお聞きした時に、「既存のキャラクター(例えばサンリオのモチーフのような)は
お引き受けできないですよ」とお伝えしたところ、「オリジナルです」との事でしたので、
先ずはその柄を見せて頂きました。

それを見て、何故引き受け手がなかったのかすぐにわかりました。
ものすご~く複雑な色切替を要する柄なのです。色数も多い。
しかも「柄の切替部分がフラットな作り方を希望しています」というコメントと共に
ご自分が所有されているその編み方のセーターの写真を添付してこられたのです。

それは、インターシャという色の切替え方のテクニックが出来る編機で作られた物でした。
3色位だとジャカード編機で出来るのですが、その場合どうしても中心の柄部分と身頃との
切替部に厚味の差が出てフラットにはなりません。
かと言って、国内で流通している一般的なインターシャ編機でそこまで沢山の色切替が
出来る機械がないのです。(S精機様に確認しました^^;)

そこで、中国の手横編み機で今や中国でさえ貴重となっている技術者を有している
工場に伝手があったので、そちらにお願いして作っていただきました。

図案は、勿論当社でCADデータを起しました。(CADはS精機様にお借りしました)
お客様から預かっている柄イメージを極力残してニットの編み目に置換える作業は
なかなか根気が要る作業でもあり、センスも要します。
特に動物の柄は、ちょっとした目の表情などでイメージ画変わってしまうので特に気を
遣います^^;

こちらが、データを作っている時の様子です。

幾つかパターンを作ってどれがイメージに近いか、又1ドットずつ色を変えていきながら
よりイメージが際立ちつつ、編立可能な図案に仕上げていきます。
幾らイメージに近くても、色切替が不可能なパターンの箇所があったら再現できないですからね^^;
ーで、ある程度固まったら、今度はループシミュレーションに置換えて確認・・・

これを又繰り返して、納得がいく図案になった時点で、使用する色数(=色糸の数)を

 ①元絵ズバリに近い状態=10色使用
 ②見た目はほぼ変わらず色数を8色に圧縮
 ③ほんの少ししか使用しない色の部分を他の色に集約して6色使いに圧縮

の3種類のループシミュレーション画像を作成して、お客様に紙DATAで送付。
その際に、手配可能な実際のカシミヤの糸のカラーチップと風合い見本を同梱して
郵送させていただきました。

お客様は②の8色使いでの実物化をお望みになられました。

この時点以降は、工場にイタリアから糸を仕入れてもらわないと始まらないので
1㎏26000.-程度の糸を8色という原料代が掛かる為、御見積の50%を前払い金として
頂戴して工場に原料手配をお願いしました。

そして・・・

工場さんと幾つかの作り込みのやり取りを経て、最終的に出来上がってきた
のが、こちらの商品です。

お客様の反応にドキドキしながらお品をお届けしたところ、「若干編地が薄い気がしましたが
問題ない範囲です。満足です。」とのお返事を頂戴すると共に、残金のご入金を頂きました。

こちらの商品1着の最終のお値段は¥438,437.-(税込)です。

その後、数週間ほどして、同じ色使いでサイズ違い2着の追加オーダーを頂きました。
追加の場合、1着目の糸の残りの範囲なら原料代は掛からない旨お伝えしていました。

女性用との事でしたので、単純にサイズを小さくするだけではなく、衿ぐりの仕様など
女性らしいデザインへのアレンジのご提案などもさせてもらったので、仕様設計書は
改めて作り直しとなりましたが、原料の方が工場も色々工夫してくれて2着ギリギリ
作れましたので、こちらの2着についての最終的なお値段は、1着辺り¥88,247.-(税込)と
なりました。
2着お求めでしたので、合計¥176,494.-です。

追加商品のお届け後にお願いしたお客様アンケートの【価格について】という項目では、
5段階評価の内【●やや満足】に丸を頂戴し、
コメント欄には「仕方ないと思いますが、1枚目が高いです。3枚作ると平均価格はまずまずです」
とのコメントを寄せてくださいました。

ーという訳で、私たちもドキドキしながらお請させてもらった案件でしたが、
周りの業界お仲間方が協力してくださったお陰で、何とかお客様に満足頂けるお品を
お届けすることができました(#^^#)

ただでさえ、オーダーメイドが難しいニット業界で、この様な特殊な要望にお応えできるのは、
単なるニットのノウハウやスキルだけでなく、耳を貸して下さる協力会社さんがおられるからです。

そして、ここがあちこち探しても出来なかった事を実現できた私たちの本当の強味かもしれないなーと
思った次第でございます。。。

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